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「なぁ彰。
今日お前ち泊まりに行ってもいいか?
徹夜で新作ゲームやろうぜ!」
「悪いな、今日は夜大事な用事があるんだ。」
軽く大治に笑いながら応えれば、大治が大袈裟に後ろへ後ずさる。
「何…だ…と!?まさかの彼女か!?リア充死ね!」
「んなわけねーよ。」
「ですよね―wwまぁしょうがねぇか…んじゃまたな。」
「おう。月曜な。」
いつも通り変なテンションの大治を駅まで見送ると、賑わう駅前の商店街には目も向けず家へと急ぐ。
「ただいまー。」
とは言え、一人暮らしの俺に『お帰り』なんて言葉は帰ってくるはずもないけど。
俺は台所の下からポテトチップス一袋を取り出した。
味わったりせずに口の中に流し込むように入れる。
水を飲みながら再度戸締まりや、火の元を確認して回る。
「よし。行くか。」
そしてまだ日が沈みきっていないというのに、ベッドに滑りこむ。
するとすぐにまぶたが落ちていき、そのまま眠ったのだった。
『…い……。…ょう、起きろ。』
「んぁ…?」
「返事がない。ただの屍のようだ。」
「いや、返事はしたからね?よいしょ…っと!」
目覚めると仁王立ちしながら俺を見下すジンと目が合った。
起き上がり伸びをしながら周りを見渡す。
どうやらここは森の中らしく、”現実ではありえない”ような100mは軽く越えている巨大な樹が、俺達を囲むように立ち並んでいた。
゛現実ではありえない″?
…そうここは俺の夢の中だ。
俺の秘密はこの夢だ。
俺はこの夢を5年前に初めてみてから、その後寝ると必ずこの夢を見るようになっていた。
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