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今から5年前のある日の夢だ。
その日はいつもと違い、俺は夢の中を自由に動けた。
意識も起きている時と変わらないぐらいしっかりしている。
少し不思議に思いながらも、初めての出来事に心を弾ませ、まさにファンタジーと言えるような雲の道を歩きまわった。
しばらくして雲の道が終わり、今度は大きな岩が無数にある道を歩く。
すると途中で何かの液体がポタポタと垂れて、地面がところどころ黒くなっていた。
「何だろ?これ。」
キョロキョロと辺りを見渡す。
近くに川など水源はなさそうだ。
気になって跡を辿っていくと、
そこには一人のイケメンな外人が、酷い傷を負い、血だらけで岩に身体を預け、薄く目を開けた状態で岩陰に座っていた。
『うぁ…グロッ。』
今までこんな酷い傷を見たことがなかったため、すぐに目を背けた。
助けたい気持ちはある。
しかし考えてみてくれよ。
もろ外人さんっていうようなサラサラなストレートのブロンドヘアーで、キリッとした吸い込まれそうな目に、高い鼻に白い肌………
当時小学生6年の俺に、こんな外人と会話ができるような度胸なんて持ち合わせている筈がない。
………まぁ、今でもそんなものないけど。
それにここは夢の中。
見なかったことにしても誰にも何も言われない。
…うん、逃げよう。
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