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先程追い掛けられたこともあり、息が切れたところで立ち止まり、後ろを振り返る。
今度は外人さんは追って来なかった。
体の力が抜けた。
「ふぅ、フルボッコ回避したぜ。まぁ故意にやった訳ではないが、鳩尾に入れるとは悪いことしたな―。」
すっかり安心しきって、一人ごとを言いながら外人さんがいる方向とは逆の道を歩く。
「もう追い掛けて来ないみたいだけど…
死んでないよな?
俺の攻撃で死んだとかなら、洒落にならねーけど大丈夫だよな?」
ふと、追い掛けてこない外人さんが気になり少しの間その場に立ち止まり後ろを振り向く。
しかしそこには依然として誰の影も見えなかった。
「お、おい。…生きてる?死んでない?」
結局、あの後気になった俺は包帯などは見つからなかったが、綺麗っぽい涌き水を見つけたからそれを側においてあった桶に入れ、外人さんのところに戻った。
俺が鳩尾攻撃を食らわせたところから動けなくなたらしく、顔だけをこちらに向けた。
「よぅ…、いい蹴りじゃねぇか。お陰でもう全く動けないぜ。」
ニヤリと悪役のような笑みを浮かべたが、その顔色はとてつもなく悪い。
「わ、悪かったな。言っとくけど俺治療もできないし、治療道具も見つからなかったけど、水だけは汲んできたから。」
いまさらになって、半端ない罪悪感が俺を襲い、罪滅ぼしのように水を差し出した。
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