-3'-

6/10
95人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
足音の正体が武井くんだとわかった瞬間、 私は立ち上がって反対方向に歩きだした。 (逃げなきゃ) ただひたすらそのことが連呼されて。 それでも思うように動かないこの足のせいで すぐに追いつかれてしまった。 「待てよっ!」 「は…なして…」 叫ぶ武井くんにおびえるように 震えた声で答える。 (もう…いや…) 本条さんからの脅しも グチャグチャな自分を見られた羞恥も 思うように動かない足も もう、 どうでもよくなってきた。 .
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!