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教室の入り口で女子を待たせるなんてカッコ悪いと、急ぎ足で咲川が顔をのぞかせたドアに向かった。 黙って歩く咲川についていって、 ようやく足を止めたのは理科室だった。 「ここなら誰もいないと思って」 そう言ってふわっと笑う。 小さく息を吸って吐き出す。理科室は他の教室とは違って、特有の変なにおいがする。 授業で使うときはあまり気にならなかったが、 小さな深呼吸でやけににおいが強く感じられた。 意を決して口を開く。 「どうしたの?急に呼びだしたりして」 一向に口を開かない咲川にちょっとイラだってきた。 「相談とか?」 早く帰りたいという思いから焦らせるような発言をしてしまう。 ふと咲川をみるとクスクスと笑っていた。 「相談っていったら相談なのかも」 そうつぶやくと咲川は俺に目を合わせて言った。 「私とゲームしようよ」 .
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