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外はパトカーのサイレンの音で賑わっている。
「これが蒼のクリスタルか………」
高層ビルの屋上から見える景色は、パトカーの赤いライトで街が赤く染まっているようだ。
宝石はキラキラと蒼く光り、見つめていると他の物が目に入らないくらいに綺麗だった。
タタタタタタタタタッ………
宝石を見つめていると、屋上の扉の方で階段を上っていく音が聞こえる。
バン !!
「……………そこまでだ!!」
勢い良く扉が開き、扉に目線を向ける。そこには、息を切らせている長髪で黒色の小柄の少女が立っていた。
少女は腕をこちらへ延ばし呼吸を整え
「ついに追い詰めたぞ。………魔王、大人しくしろ。」
少女の言葉には一つ一つに殺気を込められているのがよく解る。
更に少女の手には暗くてよく見えないが、銃らしき物を持っているらしい。
「真剣に探して頂いて光栄だな。だが、もうお開きににして貰おうか。」
魔王はクリスタルを懐に収めると、少女に背を向けて鉄の柵を乗り越え始めた。
「っ!?……こいつ!!」
少女は慌て魔王に近づこうとし走りだすが、魔王の方が圧倒的に早い。
「次はじっくり話そう。まただ………遠野棗。」
「ま、まて魔王!」
―――次の瞬間、魔王は屋上から飛び降りた。
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