谷口 正彦

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そんなことより、俺は今 もっと奇妙な問題を抱えている。 『ユーモアセンスに欠ける男 日本代表』 という、とっても不名誉なものに選ばれてしまったらしいのだ。 もちろん 何のオーディションも受けていないし、ハガキだって送ってない。 では何故、代表になったことを知ったかというと、 昨日の放課後、 駅前の公園で 黒いスーツを着た、体格がよくて サングラスをかけている男に「ガム」を渡されたのだ。 そして、お腹が減っていたので そのガムを食べた。 味が無くなったのでガムを捨てようと思い、包み紙をみたら、 こう書いてあったのである。 『アナタは、ユーモアセンスに欠ける男 日本代表に選ばれました。 アナタは頭の柔軟性がないので これをみて落ち込むでしょうが、安心してください。ガムを渡した者が アナタにユーモアセンスを授けます。』 これをみて なんだか変な気分になった。 馬鹿にされているような気もするが、でもお節介すぎる親切心なんだと解釈した。 たしかに、俺はユーモアセンスに欠けている。 みんなを笑わせたくて言った言葉が 空気を壊すなんて もう懲り懲りだ。 だから俺は、今からガムをくれた男に会うために 駅前の公園に行くのだ。      
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