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体格のいい男『お待ちしておりました、谷口様。』
公園に着いた途端、背後からそんな声がした。
谷口『俺はこれから何をすればいいんですか?』
そう言うと男は、ニヤッと笑った。
体格のいい男『素直でいいですね~。よかったです私、谷口様の担当で。死にたくないですもん私。』
死にたくない?
何を言ってるんだ この男は。
体格のいい男『あっ、申し遅れました!私、坂本と申します。では、これからこの坂本が案内する場所で、トレーニングを積んでもらいたいと思います。』
谷口『トレーニング?ユーモアセンスを手に入れるためのですか?』
坂本『はい、いかにも。今から迎えのタクシーが来ますので、それに乗って とある場所に行きます。』
谷口『とある場所?』
坂本『それは 到着してからのお楽しみです。』
そういうと坂本は、またニヤッと笑った。
待つこと約4分。
タクシーがやってきた。
見た感じ普通のタクシーだ。
坂本『さぁ、谷口様 どうぞ。』
谷口『あっ、ありがとうございます。』
坂本『運転手さん、ささき っていうラーメン屋さん わかります?』
運転手『ささき?...わかりますけど..お客さん、正直言うけど あそこはあんまり行く人いないですよ?』
坂本『わかってますよ、そこで大丈夫です。』
運転手『ふーん...わっかりました。』
なんだ?
俺は今から、ユーモアセンスを手に入れるために、あんまり人が行かない「ささき」っていうラーメン屋に行くのか?
なんだかよくわからないことになった。
坂本『では、谷口様。私はここで。』
谷口『えっ、一緒に行くんじゃないんですか?』
坂本『いえ、谷口様ひとりで行ってください。』
谷口『..じゃあ 着いたら何をすればいいか教えてください。』
坂本『んー、いいでしょう。ささき ではツッコミのトレーニングを行います。』
谷口『ツッコミ?』
坂本『まぁ 行けばわかりますよ。運転手さん、発車してください。』
運転手『かしこまりましたー。』
不安を残したまま、タクシーは ささき へ出発したのだった。
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