谷口 正彦

4/11
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
体格のいい男『お待ちしておりました、谷口様。』 公園に着いた途端、背後からそんな声がした。 谷口『俺はこれから何をすればいいんですか?』 そう言うと男は、ニヤッと笑った。 体格のいい男『素直でいいですね~。よかったです私、谷口様の担当で。死にたくないですもん私。』 死にたくない? 何を言ってるんだ この男は。 体格のいい男『あっ、申し遅れました!私、坂本と申します。では、これからこの坂本が案内する場所で、トレーニングを積んでもらいたいと思います。』 谷口『トレーニング?ユーモアセンスを手に入れるためのですか?』 坂本『はい、いかにも。今から迎えのタクシーが来ますので、それに乗って とある場所に行きます。』 谷口『とある場所?』 坂本『それは 到着してからのお楽しみです。』 そういうと坂本は、またニヤッと笑った。 待つこと約4分。 タクシーがやってきた。 見た感じ普通のタクシーだ。 坂本『さぁ、谷口様 どうぞ。』 谷口『あっ、ありがとうございます。』 坂本『運転手さん、ささき っていうラーメン屋さん わかります?』 運転手『ささき?...わかりますけど..お客さん、正直言うけど あそこはあんまり行く人いないですよ?』 坂本『わかってますよ、そこで大丈夫です。』 運転手『ふーん...わっかりました。』 なんだ? 俺は今から、ユーモアセンスを手に入れるために、あんまり人が行かない「ささき」っていうラーメン屋に行くのか? なんだかよくわからないことになった。 坂本『では、谷口様。私はここで。』 谷口『えっ、一緒に行くんじゃないんですか?』 坂本『いえ、谷口様ひとりで行ってください。』 谷口『..じゃあ 着いたら何をすればいいか教えてください。』 坂本『んー、いいでしょう。ささき ではツッコミのトレーニングを行います。』 谷口『ツッコミ?』 坂本『まぁ 行けばわかりますよ。運転手さん、発車してください。』 運転手『かしこまりましたー。』 不安を残したまま、タクシーは ささき へ出発したのだった。      
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!