宮沢 亮

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家に着いてから20分。 自分の部屋で 椅子に座り、 机の上に置いたガムを眺めている。 俺は 何に こんなにびびってるんだ? そうだ、びびる必要などない。 なぜなら俺は、 ガムを渡されただけであって 噛めとは言われていないのだ。 むしろ 噛まないことが正解なのかも知れないじゃないか。 そもそも、選ばれし者の証がガムだということが変だ。 証だと言うのに、消えてしまうようなものでいいのだろうか。 ...そうか。 証をなくしてしまえば いいのか! そうすれば 俺は 選ばれし者ではなくなるわけだ! いやまてよ、選ばれし者でなくなることは 俺にとってプラスなのか?マイナスなのか? まず俺は、選ばれし者であることにもびびっているのか。 臆病な自分が嫌になった。 誰かに助けを求めたい。 しかし、誰がこんな悩みを受け入れてくれるだろうか。 「選ばれし者になってしまって、ガムを渡された。」 俺がこんなことを言ったところで、悩みとして受け止めてくれる人などいないだろう。 こんなとき、自分のキャラクターを恨む。 お調子者、明るい、元気、お喋り、活発、積極的 クラスメイトや友人は 俺に そんな印象を抱いてる。 そんな俺が こんな妙な悩みを打ち明けても、 ギャグにしか思われないのだ。 宮沢『どうしたらいいんだろう。』
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