宮沢 亮

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いつのまにか、朝になっていた。 俺は寝たのか? わからない。 意識はなかった。 ああ、学校に行く準備をしなくては。 ガムは持っていくべきだろうか。 悩んだが、一応 ポケットに突っ込んだ。 だが、今日はガムのことは考えないつもりだ。 このままじゃ、俺が宮沢亮じゃなくなる気がするからだ。 朝飯を適当に済ませ、いつもより早く家を出た。 イヤホンを耳につけて 音楽を聴きながら自転車を漕ぐ。 いつもどおりの朝だ。 そして、何事もなく学校に着いた。 上履きに履きかえ、 階段を上り、 自分の教室に入り、 自分の席に荷物を置く。 『みやちゃーん、おはよー!』 宮沢『お、おお、川口。おはよう。』 川口美路。 同じクラスで、わりと仲の良い女友達だ。 川口『なんだよ、みやちゃん。元気ないじゃんかー。』 宮沢『..そんなことないってぇー!いつもど..げほっげほっ。』 急にテンションを戻そうとしたら むせてしまった。 なんだかとても情けない。 川口『おー、大丈夫かよー。』 宮沢『大丈夫大丈夫!』 川口『ならよかったぁ!』 こんな時に優しくされると、川口がすごく可愛く見えてしまう。 川口『ねぇ、みやちゃん。今日の放課後遊ぼうよ!』 気分転換にはいいかもしれない。 宮沢『おう、いいよ。』 そう言うと川口は、満面の笑みを浮かべて 自分の席に戻っていた。 なんだか、にやけてしまう。 授業中、俺は、放課後が楽しみで ガムのことは忘れていたのだった。
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