――夕凪千針の串刺し歌劇――

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 武器職人であるところの彼、憑喪死相(つくもしそう)は、武器職人でいて、鉄職人である。  彼の打った鉄は、何事にも耐え、そして、確実に相手を貫くといわれる。  雲の剣伝説。  雨の降りやまない山岳地帯。  雨のせいで地盤がゆるみ、危険なため封鎖されていた。  だが、いつまでも止まないその雨は人々にも影響を及ぼす。  太陽がでなく、作物が育たない。  困り果てた人々は憑喪に依頼したという。  彼は最初はただの術師だと思われていた。  なので人々は当然呪文か何かで雨を止ませるのだと思い込んでいた。  だが違った。  彼は、一本の剣を打った。  そしてそれを封鎖された山の頂上でかざし、雲を切りなさいと言った。  人々は彼のことを疑った。  だが、それでも、それにかけるしかなかった。  だから、たくさんの人の中から一人を選んで行かせたのだ。  すると、不思議だった。  なんと本当にその剣は雲を切ったのだ。  そして、彼は気づいたらその村にはいなかった。
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