――夕凪千針の串刺し歌劇――

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あの事件からまだ幾日もたっていない。  そして、夜行性との対決において受けた傷も癒えてなどいない。  本当の恐怖とは何か、出会ったその瞬間におぞましさを感じるほどに、不気味でいて、恐ろしかった。  できれば二度と会いたくなどない。  だが、千針は諦めてはいない。  諦めるということは、二度目に出会ったとき。  それは自分が死ぬ時であるということを意味する。  それに、負けっぱなしなど、許されるはずがない。  少なくとも、他の二人は諦めていない。  二人とも、まだ傷は癒えていないが、さらなる強さを求めて千針の前から消えた。
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