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「鴇君…」
「ん…?」
紅く燃えるような髪色に、
私の心を焦がすような
鋭く真っ直ぐな視線
「どうした、碧…」
「重いよ…そんなに
覆いかぶさらなくても…」
「…いいだろ、
もう少しぐらい……」
重いの程度ではなくて
苦しいといいそうなぐらい
でも…これが
どうも心地好いの―。
私達は、互いに愛に欠けていた
私は、小さい頃に
父を病で亡くしてしまい
母は…
つい五日前に
交通事故で亡くなった。
まだ、私の心には
ぽっかり穴が空いていた
それを埋めてくれているのが
彼、 美柴 鴇 君…。
鴇君は、昔に両親と弟が急に
行方不明になったらしい
彼もまた家族を失うことが
どういうものなのか分かっていた
今まで私を支えてくれた母を
失った寂しさを忘れられない私は
こうしてベッドの中で彼に
肋骨が軋みそうなほど
抱きしめられ、彼からの愛を
胸が熱苦しくほど受けていた
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