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―リビングの真ん中にある 食卓の椅子に鴇君は座る 私は二人分の熱いお茶を入れ 一つをテーブルに置いた 「はい、お茶。」 「どうも」 そして、私も彼の 向かいの椅子に座った 「で、どうしたのよ? 夜中にあんなメールを 渡してくれちゃって。」 彼は、お茶を一口飲み こう言った 「いや…特に。」 「えっ…。 何か用とかでも無いの??」 「あぁ」 どういう意味ですか? 私の睡眠時間を返してください… そう強く言えない私が 何処かにいた 好きな人が傍にいるだけで 嬉しいと感じている 自分がいるから 「…わかった、気が済んだら ちゃんと帰ってね」 こんな言葉も 言いたくはなかった 『気が済まなかったら 帰らないでほしい』 っていう裏の思いに 気づいてくれるだろうか いや―、天然には 気づかれることは無いよね そうやって、私はいつまで 隠れてばかりいるの なんか…ダメだよね、私って。
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