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そのテーブルには、すでに10人ほどの学生がいて、春休みに行った旅やキャンパスライフについて、話が盛り上がっていた。
テーブルの上にある紙コップに注がれた、色とりどりのジュースやお酒、女の先輩たちの可憐な洋服やアクセサリーが、目に飛び込んでくる。
私が椅子に座ると、前に座っている先輩が話し掛けてきた。
「俺、3年の高橋翔太。よろしくね。さやちゃんって呼んでいい?」
「はいっ!よろしくお願いします!」
くりくりと大きい目に、ニッと開いた大きな口、並びの良い歯。
みんなに愛されてそう、そんな印象を受けるくったくのない笑顔を見せてくれた。
すると、高橋先輩の横に座っていた、ワンレンでロングヘアーの先輩が、したり顔で口を開く。
「こいつ、おっちょこちょいでな、バカ橋って呼ばれてるんよ!
この前アメリカ行った時なんて、宿にパスポート忘れて…ー」
「ちょっと樹里!新入生の女の子に、カッコ悪いこと言わないでよ~」
「実際そうなんやもん、仕方ないやろ!
それでな、グランドキャニオンでは現地の人に…ー」
「やーめーて~」
私は二人のやりとりに、緊張が和らいで、一緒に笑った。
こんな風に自然に、男女問わず喋って、笑い合って…漠然と、大学生っていいなと思った。
和気あいあいとしたその雰囲気に、私は、キャンパスライフに期待が膨んでいくのを感じた。
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