幼き記憶

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大きな足音がすごい勢いで近づいているからである。 親子二人を脅かせているその存在。 それは、二メートルはあろうかという長身で、口には大きな牙を携えてだらしなくよだれを垂れ流している、獣のようなその風貌。 オーガである。 オーガは七匹で群れをなし、この親子を襲っていたのである。 母親は、自分達の居場所がばれ、一直線に向かっていると察し、意を決してオーガ達の前に立ちはだかった。 母親は毅然とした瞳でオーガ達を見据えた。 これは母親として子を守ろうとする使命感がなし得ることか定かではないが、足を振るわせながらも、自らの行動に何の躊躇もなかった。
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