1章 僕と諒

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――ドスッ 「うっ」 「ハッ!気い抜いてんじゃねーよ」 腹パンチだ。 「昨日から津笠が行方不明だって…!今はおまえの味方なんか誰ひとりいねーんだぜぇ」 ――ドカッ 「……っ」 「まあこの辺にしとこーぜ。ひとりぼっちのかわいそーな直チャン」 「直チャン元気出せよぅ!」 上級生のグループはケタケタ笑いながら、去り際に直の足を蹴り付けて行った。 この野郎… この野郎…! 上級生グループの背中を見詰めて、僕は無償に 怒りが込み上げてきた。 おまえらがいなかったら、諒はあんなことにならずに済んだんだ。 リーダー格の坂井――あいつは皮肉にも中学から同じだった。 警察沙汰になるほど卑劣な悪さばっかりする問題児。外でどんな事をやってるかなんて僕にとってはどうてもいい。 とにかく 僕と諒を遊びものにする―― これだけは 大きな問題だった。 そして僕らが出会ったのも、あいつらに絡まれた時だった。 ――あいつらの憎い背中が廊下の向こうへ見えなくなってく。 「……ちくしょう…」 見えなくなってく背中に、あの日の光景が、脳裏に蘇る
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