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坂井は未練がましそうに彼を睨んでから、その場を去った。仲間らは慌ててついていく。
廊下の向こうに小さくなってゆく坂井達の姿を、僕は見詰めていた。彼も見詰めていた。
「…死ねよ」
壁にもたれ掛かる彼が、坂井達の背中に向かって憎そうに呻いた。
服は足跡で汚れている。狂暴に光っていた瞳は、もう力を失せていた。
こいつ、坂井の仲間に殴りかかった時、強く頭を打ったはずだ。
僕は腹を押さえながら、彼のもとに歩いた。
う…腹が痛い。
それからこいつ――
「…君だいじょうぶ?」
僕は声をかけた。
「あいつら、すっげー腹立つ」
彼はそう言った。
「うん……」
「絶対 仕返ししてやる…」
僕は度肝を抜いた。
僕よりボロボロなくせに
僕と同じ、体格がいい方じゃないのに、
坂井に勝てそうな気がした。
こいつ――すげえつえー奴だ。
「…立てる?」
彼は大丈夫と行って立ち上がろうとしたがよろめいて、僕は慌てて支えた。
「保健室行ったほうがいいよ」
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