1章 僕と諒

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保健室の先生はひどく彼を心配して、手当てをしながら僕らに「もしかして、坂井君に?」と聞いた。 「…はい」 僕は頷いた。 先生はため息をついた。 「…最近、あの子たち一年生を虐めるのよ」 「一年狩りですね」 彼が言った。 い…一年狩り!?嫌な響きだ。 「ひとりでいるところを捕まえて、被害に遭った一年生は沢山いるのよ。先生達も坂井君に神経を尖らしているけど あなた達も気をつけてね」 先生は、彼の背中に湿布を張りながら言った。ほんとに痣だらけだった。 僕も殴られた自分の腹を見てみたが、なんともなっていなかった。 「頭は冷やしておきましょう。目眩があるなら、しばらくここでじっとしてなさい」 先生は、タオルで巻いた保冷剤を彼に渡して、保健室をでていった。
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