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「あの人、今日休みだけど」
A組の生徒はそう言った。
「え!?それって…風邪?」
「怪我だって。詳しくは知らないけど」
「そうか… ありがとう」
僕は教室を後にした。
怪我って… 怪我ってなんだよ。
坂井にやられたのか…?あいつ…。
諒に会ったのは、翌日の昼休みだった。
お弁当を下駄箱のとこに忘れて取りに行ってきたところで、階段のところですれ違った。
「諒!」
「あ、直」
振り返った諒の頬に湿布が貼られていた。口元には痣がある。片目の瞼は少し腫れていた。
僕が口を開くより先に諒が口を開いた。
「あ、おまえそれって弁当?」
「えっ?あ、うん」
僕は拍子抜けした。
すると諒は「すまん!」と言って両手を合わせて頭を下げた。
「ちょっとでいいから、弁当分けてくれ!おれ、弁当も金も無いんだ!」
「えっ?ちょ…諒?」
「腹が減って死にそうなんだよ…」
上目遣いで必死に頼まれてきた。しかもそんなボロボロな格好したやつに、さすがにNOとは言えなかった。
「えー…しょうがないなあ…」
と言うと、諒は跳びはねる勢いで喜んだ。
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