1章 僕と諒

15/39
前へ
/65ページ
次へ
「おれのばあちゃん 馬鹿にしたんだよ」 「…ばあちゃん?なんで坂井が諒のばあちゃん知ってんだよ」 「………」 諒は答えず 弁当の残りのご飯をかきこんだ。 「………」 すぐ弁当を空にして箸をおき 諒は左足を確認し立ち上がった。 「じゃ おれもう行くわ」 「諒?」 諒はさっさと調理室をでていった。 「ちょ、諒?!」 僕は慌てて調理室を出たが、すぐに諒を見失ってしまった。 …なんだよ、どうしたんだよ。 午後の授業の時間がきて 僕はほんとに諒の言うとおりになりそうだった。 やっぱ意地はって全部食わすんじゃなかった…。よく考えときゃ良かった。 よりによって体育でドッチボールなんて。 体育館で腹がなりっぱなしだ。 「はー、腹が減っては戦は出来ぬだよ…」 と呟くと、近くにいた、小学生からの友達である智が 「直は腹が減ってなくても 同じだろ」 といつもみたいにからかった。 確かに僕は運動は得意じゃない。だけどこの智はサッカー部のスポーツ万能だから、言い返す言葉が見付からず 僕はいつもからかわれては「チビのくせに」と返すのだ。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加