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「弁当忘れたやつがチビだっての」
と 智は訳分からないことを言う。
僕の身長は平均値である。
「は?」
「弁当忘れるようなやつの脳みそがチビだっての」
智は生意気に言った。
ほんとにこいつ、昔から生意気なやつだ。
「でも 僕弁当忘れたわけじゃないからな」
「なんだ食わないだけかよ?」
智は目を細めた。
「違う。A組の津笠に食われたんだよ」
あげた なんていえなくて、あたかも僕は 諒に勝手に食べられたみたいに言った。
「無茶苦茶だなあ、ソレ」智は笑った。「津笠ってあの坂井に目ぇ付けられてるやつだろ。あれといるとろくなことないって、小川が言ってた」
「諒は悪いやつじゃないよ」
諒と面識のない智にそう言われると、なんだか腹が立った。
「でも」と智は言った。「小川の友達が 用があって津笠といたら 坂井のグループに鉢合わせて あいつ関係ないのに殴られたんだ。鼻血が出たってよ」
「鼻血がなんだってんだ。悪いのは坂井だろ?」
「だけど津笠だって 坂井に目ぇ付けられるようなことしたんだろ?」
「悪いのは坂井だ!」
僕はきっぱり言った。
智はむすくれた。
「…おれ しらねーからな」
智はみんなのほうへ走ってった。
あいつの背中を追うように、僕の腹の虫が虚しく鳴いた。
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