1章 僕と諒

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「…おまえさ」 諒が言いよどんだ。 「…なんで おれのそばにいるんだよ」 僕は思わず振り返った。 諒は むつかしそうな顔してそっぽ向いていた。 「なんだよ いないほうがいいって?」 「いや… そーじゃなくてさ」 諒は頭をポリポリかいた。 そっか。こいつにとっちゃ、みんな離れてくくせに 僕はこうして諒といるから―― 「おまえって、ばか?」 僕は笑った。 「友達じゃん 僕ら」 諒は唖然と僕を見た。それからまたそっぽ向いて 「…ふん!ばかは余計だっての!」 そう言う諒の耳は赤かった。 僕はそんな諒が好きだった。僕がこいつを独りぼっちなんかにさせないって思った。たとえ坂井の悪あがきに巻きこまれても 僕の痛みなんかより諒のほうがずっと痛いんだ。 「これから、あいつ来るの?」 僕は聞いた。 「ああ、多分。おれを捜してくるよ」 「だったらはやく坂井を負かせてやろう!僕、協力するって言っただろ」 そう言うと、諒は僕をみて 変な風に顔をしかめた。
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