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「…おまえさ」
諒が言いよどんだ。
「…なんで おれのそばにいるんだよ」
僕は思わず振り返った。
諒は むつかしそうな顔してそっぽ向いていた。
「なんだよ いないほうがいいって?」
「いや… そーじゃなくてさ」
諒は頭をポリポリかいた。
そっか。こいつにとっちゃ、みんな離れてくくせに 僕はこうして諒といるから――
「おまえって、ばか?」
僕は笑った。
「友達じゃん 僕ら」
諒は唖然と僕を見た。それからまたそっぽ向いて
「…ふん!ばかは余計だっての!」
そう言う諒の耳は赤かった。
僕はそんな諒が好きだった。僕がこいつを独りぼっちなんかにさせないって思った。たとえ坂井の悪あがきに巻きこまれても 僕の痛みなんかより諒のほうがずっと痛いんだ。
「これから、あいつ来るの?」
僕は聞いた。
「ああ、多分。おれを捜してくるよ」
「だったらはやく坂井を負かせてやろう!僕、協力するって言っただろ」
そう言うと、諒は僕をみて 変な風に顔をしかめた。
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