1章 僕と諒

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「ううぅう…」 涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら僕は泣いた。その肩を、諒は笑いながら揺さ振った。 「泣くなよ 弱虫!」 「う うるさい…っ」 ズズッと鼻を鳴らしながら 僕は袖で涙を拭った。 「あーあ… おまえにもティッシュが必要ね」 鼻水まみれの僕より 鼻血まみれの諒のほうが余裕があるようだった。 最悪なのは諒の方なのに、僕は…。 「とりあえずトイレにティッシュ代わりがある… トイレいこうぜ 直」 「…え?」 「ほら 早く」 諒は僕の腕を引っ張った。 すぐ近くにあったトイレには、だれもいなかった。もしいたら 僕らの様子をみてどう思うだろうか。 僕らは洗面台で顔を洗った。 洗いながら僕はぼんやり想像していた。 ――鼻血垂らして…喧嘩か?いや、もう一人のほうは鼻水垂らしてるぞ。へんなの…。 僕はがむしゃらに トイレットペーパーで鼻をかんだ。
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