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鼻をかみおわって諒の方をみると、諒の洗い流した顔は鼻を中心に赤くなっていた。鼻血はまだ止まっていないらしく、トイレットペーパーの塊を当てていた。
気付けば、諒の服だって血が付いている。
「諒…大丈夫?」
「ああ 鼻血だけ。折れてねーし」
諒はなんだか鼻血に慣れてるみたいだった。
「上着…おれ今日持ってこなかったっけなあ」
僕に頼み込んでんだか、独り言なのか、よく分からない口調で、諒は血の付いたブラウスの裾を引っ張った。
確かに あんまりさらけ出して歩きたくないものだ。
「まあいっか。おれん家まで結構田舎道だしさ」
どっちにしろ僕は思った。
「それ 一番見せたくないのは母ちゃんだよな。諒の母ちゃん心配するだろ」
「心配ないよ」
「PTAに殴り込みとかしない?」
諒は笑った。
「しないよ。おれ 母ちゃんいないもん」
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