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「でもばあちゃん元々、占い師になりたかったらしいんだ。ばあちゃんに未来が見えるとか…そんな能力なんてないんだけど…何故だか、不思議な話とかおまじないとか いっぱい知ってんだ。多分そういうのが好きなんだよ。そんで占いを必死で勉強して…」
不思議な話とかおまじないとかいっぱい知ってんだ、言った時の諒はなんだか自慢げだった。
「それじゃあ 占いはよく当たるの?」
「…うーん、そこそこ…かな」
諒は苦笑した。
「でも占いって 天気予報とおんなじもんなんだよ」
「ふうん…」
教室にたどり着いて 諒はかばんを取ってきた。僕は入り口で待った。教室には数人残っていたけれど、諒の存在は全く無視されていた。
「で、坂井は?」
諒が戻ってきた時 僕は聞いた。
「ああ、うん…坂井…」
“坂井”で、諒の目が少しきつくなった。空気がピリッとする。ほんとに、こいつの眼光に敵うものは無いような気がしてきた。
「結構家 近所でさ、あいつの親父が ばあちゃんの占いうけに来たんだよ…」
諒の口調に坂井に対する苛立ちが混じった。
「ろくでもないって…ばあちゃんあんま教えてくれなかったけど、金のハナシだって。バクチみたいなやつだよ 多分」
「バクチ?」
「そ。バクチ」
ニュースかなんかで聞いたことがあった。お金を賭けて遊ぶみたいなことだ。
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