序章

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その“声”は 二日前から、あのおまじないをした時から 頭のなかで語りかけてきた。 ――朝ごはんは目玉焼きなの? おれ自身によくにている 声。 ――授業は真面目に受けるんだね。 そんな他愛ないことばっかり聞いてくる。 だけどたしかにこの声は、おれ導いた。 ――おまえ 今日はずっとひとりぼっちだったね。 だから なんだ。 ――だから 落ちようと思ったの? 理由がなんだって アンタに関係ないだろうが。 ――そうかな。おれがおまえだったら 関係あるはなしなんじゃないかな。だっておれはおまえの… もうひとりのおれ…? ――現実に 同じ人間がもうひとり存在するなんて有り得ないだろう? ――だけど 現実と掛け離れたところには もしかしたら存在するのかもね。 なにいってんだよ。 ――だいじょうぶ。いずれおまえは おれに会いにくる。 訳分からないこと 言うなよ。
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