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覚悟を固めたとき、声が飛んだ。
「やめろ!」
――!?誰だ!?
「諒!やめろ!」
駆けてくる足音がすぐ近くまできた。
振り返ったら落ちる。
けれど知っている声…。
この声は…。
…直?
「諒!」
そいつはおれの名前を叫んだ。それからフェンスの網に指がかかる音がした。
「来るな!」
おれは叫んだ。
「なんで来るんだ!」
けれど あいつはおれのすぐ後ろでフェンスを登っているような音をたてた。
「死んじゃだめだ…お願いだ やめてくれ…!」
あいつのぐしゃぐしゃになって泣いてる顔が浮かんだ。
「約束したじゃないか、一緒に卒業しようって…!それまで頑張ろうって…!今までだって乗り越えてきたじゃないか…!」
泣くなよ 泣き虫。
「おれ 分かっちゃったんだ」
嵐のような心に関わらず 発したおれの声は冷静だった。
「分かったんだよ。おれたちの終末が」
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