序章

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「終末って なんだよお!なにいってんだよお!」 「知ってるか 直。未来を教えてくれるまじないがあるんだよ」 「おまじないなんか信じたのか!」 フェンスがまた音をたてた。 「落ち着いて聞いてくれ。ばあちゃんが言った話なんだ」 おれは息を吸い込んだ。 呼吸が苦しいのは 今更沸いてきやがった 恐怖と緊張なのかもしれない。 直は黙り込んだ。 「…おれん家の近くに、古井戸があるんだ。もう今はしっかり蓋が閉められて蔦が這ってて 藪のなかにある汚い井戸だよ」 あの日ばあちゃんはこう言った。 ――昔あの井戸に 女の子が落っこちたんだよ。だけど不思議なことに、井戸からは女の子の靴だけが見付かった… 女の子がいなくなっちまったんだ。 ちゃんと落っこちたところをお友達は見ていたんだけどねぇ。 そしてまたある日 別の地域で登山中の女の人が 谷底に落っこちた。 けれど彼女の遺体もおらなんだ。 東京さで マンホールの中に落っこちたおやじさんもいなくなっちまった。 そんな奇怪な事件がいくつも起きたんだ。
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