序章

8/10
前へ
/65ページ
次へ
だけどねぇ、あの人達には共通点があったんだよ。 消えちまったその近くに、血で兎が描かれた紙切れが見付かりよった。 まるで殺人犯のダイニングメッセージみたいだがね。 あのまじないを知らない刑事さんたちは 殺人事件だのと必死になっていただろうね…。 …白昼の月のおまじないあってな。 これは禁断のおまじないなんだけどね。 白昼の月を見ながら、紙に自分の血で兎を描くんだよ。 そして夜更けを待って 光る月に兎の絵を翳すんだ。 なんと不思議なこっちゃ。その兎が話し掛けてくるんだ。 あなたの未来を教えてあげようか ってねぇ。 お伽話みたいだろう。 ばあちゃんが子供のころは 未来を教えてくれる兎の神様を呼んでみようとて 紙に赤ペンで兎を描くのが流行ったさねぇ。 ほんとうの手順なんかだあれも知らないもんだから 兎の神様は来なかったさ。 どこで知ったのかねぇ。 井戸の近くのあかねちゃんは……
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加