序章

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話し終えるとおれは息を吐いて、身体の力を抜いた。 「ばあちゃんの話 信じてみるもんだな」 「…おまえ そのおまじないやったのか?」 直の声は震えている。力の抜けたような 唖然としたような どうしようもなくて笑ったように。 「なあ 諒 やったんだろ?兎が話し掛けてきたってのか」 「…………」 「なんで黙るんだよ!未来なんて 変えようと思えば変えられるじゃないか!」 「……だから今変えるんだよ」 苦しい呼吸。 心臓の鼓動。 おれは目を閉じた。 「わけ…分かんないよ 諒お…」 直の涙声がする。 「泣くなよ。弱虫」 おれは小さな声で言った。 言葉が震えそうで怖かった。 動揺なんか 見せては 直を苦しめるだけになる。 「おれらは 幸せになるんだ」 「…うう 諒…… お願いだ……! 間違ってる…!人が死んで幸せになんかなるか!」 「そうさ おれはおかしいよ」
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