4人が本棚に入れています
本棚に追加
話し終えるとおれは息を吐いて、身体の力を抜いた。
「ばあちゃんの話 信じてみるもんだな」
「…おまえ そのおまじないやったのか?」
直の声は震えている。力の抜けたような 唖然としたような どうしようもなくて笑ったように。
「なあ 諒 やったんだろ?兎が話し掛けてきたってのか」
「…………」
「なんで黙るんだよ!未来なんて 変えようと思えば変えられるじゃないか!」
「……だから今変えるんだよ」
苦しい呼吸。
心臓の鼓動。
おれは目を閉じた。
「わけ…分かんないよ 諒お…」
直の涙声がする。
「泣くなよ。弱虫」
おれは小さな声で言った。
言葉が震えそうで怖かった。
動揺なんか 見せては 直を苦しめるだけになる。
「おれらは 幸せになるんだ」
「…うう 諒…… お願いだ……! 間違ってる…!人が死んで幸せになんかなるか!」
「そうさ おれはおかしいよ」
最初のコメントを投稿しよう!