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「君がこちらに出てくるのは久しぶりだね」
白いシャツに黒い上着を着た黒いウルフカットの穏やかな笑みを浮かべた長身痩躯のサングラスをかけた美麗な男が隣にいるオリジンに声をかけた。
「・・ああ。久々だな。晶人・・十七年振りか・・?」
「ああ・・彼と彼女の子供が生まれた時期だからそれくらいになるか」
オリジンは晶人が淹れてくれた珈琲を啜りながら
「相変わらずここの書斎は広いだけで何もねーな」
オリジンはそう言うと室内を見る。
「本棚と机しかないフローリングの部屋だからね。広くないと落ち着かないんだ。ここは2Kくらいかな?」
「・・無駄にひれぇよ・・それより・・シルビア含めた奴らは契約者を見つけたらしい。」
「・・だろうね。由美やマキュアが手も足も出ないとなると。王クラスか上級クラスくらいなもんだ。状況が大分変わるかもしれない。」
晶人もまた珈琲を啜る。
「・・あんなガキらにも戦わせるのか・・」
「・・それを言わないでくれ。未だに戦力が揃ってないんだ」
「・・例えそうでも今回は負けられないさ」
オリジンの瞳が鋭く光る。
「・・以前は奴らはまだ契約していなかった。だが・・奴らと契約できるほどの奴らがいるとなると・・」
「・・戦局も変わる・・彼らが命賭して時間を稼いだわけだが思ったよりも時間は・・」
オリジンはちっちっと舌を鳴らして指をふる。
「なにいってんだ。十七の年月も時間ができたんだ。充分だ。それに・・」
オリジンはコーヒーを飲み干すと
「俺が前のようにはさせない」
力強くつぶやいた。
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