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遠吠えがする---。
獣の声・・・。
空には白い月。
モノクロカラーの
草原。
この場所は一体どこだ。
僕はいつもの制服でその場所に立っていた。
長い長い時間を立っていた。
気づけば目の前に白い狼がいた。優しくも雄々しい眼をした。白い狼。
「大きくなりましたね・・主の子よ・・・」
「????」
不思議と狼が喋るのではなく。何故狼は僕を知っているのだろうという事を気にしていた。
「貴方の事は貴方が生まれ落ちたその日から知っていますよ」
狼は穏やかに告げる。
「・・困惑するのも無理はありませんね・・まだ私を知るのはまだ先の事ですから・・」
狼の声はどこか懐かしく心を揺らす。
「眼を覚ませば貴方は貴方の現実が苦難と非日常に満ちた非現実になった事を知るでしょう・・。ですが恐れないで・・」
いつの間にか狼は美しい白い少女になっていた。白い長髪に自分と同じ赤い緋色。透き通る肌に二重にふっくらとした唇。自分よりも一回りも小さな少女に大きな存在感を感じる。
「貴方を護るのは私の役目・・貴方は光と闇に祝福されし運命の子供・・[黒白の導き手]・・全てを破壊し・・再生する者」
僕は声を出そうとしたが何故か出なかった・・。
「貴方はまだこの場所で声を出すほどの力もない・・強くなりなさい・・私の名前はグリモア・・貴方と共に歩むもの・・」
左の胸がぎゅっと熱くなる。
「貴方はこれから[シャドウ使い]として多くの魔を従えて脅威と戦わなければいけない・・でも大丈夫・・貴方の力は何者にも属さない最凶の力・・主を越える資質が貴方にはある。どうか恐れないで貴方が選ぶべき選択をしてほしい」
また意識が遠くなる・・。
「今は目覚めなさい・・可愛い主の子・・貴方が本当に全てを知るときまで子守歌を私は歌ってあげるわ」
聞きだい事があるのに今は意識を保てない。
「また会いましょう・・。修吾」
ふいに言葉がでた!!
「姉さん!!」
何故かその言葉は言わなければいけないような気がして・・。その言葉を聞いて少女・・グリモアは微笑む。そして僕は意識を手放した。
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