シャドウ

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「・・あの子の息子が現れたらしいね」 美しい絵画にいるような無機質な美女・・赤いイブニングドレスを着たブロンド髪を頭の上に束ねたただ美しく芸術的に整えられた顔を無表情にしただ目の前のベッドに眠っているくまのぬいぐるみを抱えた幼く可愛い栗色髪の少女を優しげに撫でている。服は彼女とお揃いの赤いドレスだ。 傍らにいるのは執事服の鼻の下にヒゲを蓄えた微笑みを携えた老紳士に声をかける。 「ええ・・奥方と共にたった二人で我らに立ち向かった[黒翼のダンテ]・・あのお方の御子息が存命しておりました」 「・・フェイクの可能性は?」 「ありません。[ハート]の所持者は同じく[ハート]の所持者である。我らに気づかないはずはありません。何よりシルビアが貴女様の[力]を無断使用した時点で・・確定でございましょう」 赤いドレスの女性はふうとため息をつくと言葉を放つ。 「誇りある裏切り者にしてヒトに惹かれた愛しき弟・・もう一人の弟は?」 「・・オリジン様ならばやはりあのお方の御子息と契約を・・」 「・・やはり敵にまわるのね・・あの子は昔から何を考えているかわからないわ」 女性はふうとため息をつくと・・。 「・・今回ばかりは決着がつくまで終わらないわね・・オシリス・・」 老人は頷くとにこりと笑う。 「[赤翼のステア]・・私が付き従うはあなた様のみ。その無垢なる少女とあなた様のために戦いましょう」 老人はかいがいしく頭をたれた。
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