1140人が本棚に入れています
本棚に追加
障子へ掛けた指は大きな手に包まれ、反転した体は温かい胸に引き寄せられる。
「もう行くのか?
なら少しだけこうさせてくれ。」
回された腕に心地好い力が加わり、真生はされるがまま暫し温もりに埋もれた。
短い時間だったが幸せを満喫し、歳三は一旦離れ軽い口付けを落とす。
「お前ぇを早くここから出してぇ。
くくっ、これに関しちゃ俺だけが焦ってるみてぇだな。」
頬を染めて首を傾げる真生を解放し、一人になると元いた文机の前へ座り直した。
残った執務へ戻り紙に筆を滑らせつつも、先程自ら口にした焦りの要因を脳内で辿る。
最初のコメントを投稿しよう!