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当然見える筈もなく…
「…ん」
嵐の向こうに何かが見えた、あれは…火?
目を凝らしていないと見えないような儚い夢のような火、それは一つだったものが二つになり二つだったものが4つになり、どんどん増えていく。
なんと幻想的な光景だろう、この激しい嵐のなかで、感銘さえ受けた。
船長はこの光景を見ているだろうか、あれは、あれがきっと秘境ZIPANGなんだ。皆に教えてやらないと、ダオラスが甲板に向き直ろうとした。
しかし、次の瞬間ダオラスの見ていた世界はグニャリと曲がり体はその火に吸い寄せられるように船から身を投げていた。
「小僧…?小僧!どこだ!?こぞぉぉぉお!」
船長が辺りを見回した時にはダオラスの姿は空気の様に音もなく消えて無くなっていた。
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