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しかし何かが起こる気配もなく、池は依然として静かに佇んでいた。
「そうだよね……やっぱりどんなに綺麗だってただの池だし、道を示してくれるなんてあるわけない。
もう疲れちゃったよ……」
諦めたようにそう呟くと、美雨は組んでいた腕に顔を埋めた。
「さむっ…」
ふと感じた寒さに美雨が顔を上げると あたりは真っ暗になっていた。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
美雨は慌ててバッグから上着を取り出し 着込んだ。
やはり夜は冷え込む。
美雨の体はすっかり冷えきっていた。
「あーもう8時になるじゃん…私寝過ぎ。」
携帯のディスプレイを見た美雨は呆れたように笑った。
「結局夜までいちゃったけど何にも起きなかったなー。
おばあちゃんたちも心配するだろうし、そろそろ帰ろっかな。」
傍らに置いたバッグを掴むと 美雨は立ち上がった。
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