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「それが美雨どのの迷いか……。
俺には歌手というものがよく分からぬから 美雨どのの苦しみも分かってやれぬ。
だがこれだけは言える。
そなたは歌うことに対して…そして聞き手に対して驚くほど誠実なのだな。」
「…誠実?」
「そうだ。
でなければそこまで気に病むこともないであろう?
迷うのも不安に思うのも、全ては歌うことと真剣に向き合っているからこそだと俺は思う。」
「……」
「大丈夫。そなたなら見つけだせる。
この江戸で。
その舞句で。
何かを掴めるまで歌ってみるといい。
どんなことでも力になろう。
なぁ早紀?」
「もちろんでございます、兄上!!
美雨様。
先程も申しましたが、今一度言わせていただきます。
共に…探して参りましょう。」
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