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「さぁ、美雨様。今日は吉原の大門の辺りまで足を伸ばして参りましょう。」
「あ、はい!!ってゆうかまた"美雨様"になってますよ」
「あら、本当でございますね。」
二人は笑い合いながら、歩を進めた。
周りからは相変わらず美雨に好奇の視線が向けられている。
少し落ち着いた美雨も、やっとその視線に気付いたようだ。
「早紀さん…やっぱり私目立ちます?
なんかみんな見てるし」
自分に向けられる視線に 居心地の悪さを感じ、早紀に尋ねる。
「美雨の髪の色は珍しいですからね。
大丈夫、物珍しく思われるのは最初だけでございます。
現に早紀はもう慣れました。」
笑って返してくる早紀に美雨は少し安心した。
"もう慣れた"という言葉にも、早紀との距離が縮まった感じがして嬉しくなる。
(ほんと早紀さんといると心強いなぁ。
早紀さんが着物を貸してくれたり 髪を結ってくれなかったら、もっと目立っちゃうところだったもんね。
ありがとう早紀さん。)
綺麗に結われた自分の髪にそっと触れ、美雨は心の中で深く感謝した。
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