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と、その時。
門から二軒目の建物の二階から、ピシャッ-っと 窓の開く音がした。
その音に それまで美雨に釘付けになっていた者達が、一斉にそちらを仰ぐ。
もちろん美雨と早紀もそれに乗じる。
そして美雨の目に飛び込んできたのは、二階の窓からこちらに視線を向ける一人の美女であった。
遠目に見てもその美しさが分かるほどに美白美麗な顔立ちに 美雨は目を奪われる。
周りの者もその姿を確認したようで、次第にざわめき立つ。
"…美月(よしづき)太夫だ-"
"滅多に拝めねぇ吉原一の花魁じゃねぇか"
"こいつぁ眼福だ。噂通りの美女だな"
そんな話し声が美雨の耳にも届く。
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