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ー華乃視点ー
「おい変人、もう芸人についてはいいから!・・てか華乃も読書やめろよ!」
どうやら彼は自力で立ち直ったらしい
まぁ別にどうでもいいが
華乃は調度今読み終えた本をしまう
・・それにしてもこの『完全犯罪のすゝめ』、俺が何年も前から知っていたような知識しか載っていなかった
たいした作品でないな
そんな失礼な事を考えながら
「あぁところで師匠、例の件は上手くいきましたか?」
部屋のど真ん中で優雅に茶を飲みながらいまだ語っている葵に声を掛ける
何しろ彼がこの部屋にやってきたのはそれを報告するためだ
「ん?あぁあれかい?勿論完璧だよ、誰にもばれてない」
葵はニコりと微笑みながら言う
まぁ彼がそういうなら間違いないだろう
「例の件ー?何だよそれ!俺にも教えろよ、誰にも言わないから!」
間に千里が割り込んでくる
歩く騒音の貴方に教える訳ないでしょう
華乃はそう言いたいのを堪え
「また今度教えますね」ニコッ
適当にごまかした
こういうタイプは無理に隠そうとするよりも適当にはぐらかすのが一番です
「お・・・おぅ//」
たちまち真っ赤になってしまった千里
ほら、単純な人間は楽でいいですねぇ
でも何故顔が赤いのかは謎です
華乃はちらりと千里を一瞥したがやはり興味ないと思い直しスタスタと寮から出て行こうとする
「えっ!?おい、どこ行くんだよ!!」
千里が我に返って華乃を呼び止める
しかし華乃はというと
「出掛けて来ます
(うざいので)ついて来ないで下さいね!後師匠、忙しい中有り難うございました、では」
早口にそう言うとさっさとドアを閉めてしまった
ーーーーバタンッ
ワカメ君、どんまい
様子を見ていた葵は呟いた
その光景は一見同情しているかのように見える
しかしその口許は楽しげに笑っていて彼の性格が表れていた
それにしても、千里の愛称はワカメ君に決定してしまったらしい
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