『死ぬかもしれない』

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青希は目の前で寝ている少年に目をやった。 スッキリと清潔感のある白い髪、 雪国の少女に匹敵する白い肌―――― あ。 彼の制服が、自分の学校と同じものと言うことに気づく。 確か彼は、朝霧壊縁。 あまり目立たないが、成績は優秀であった。 彼はほとんど怒らないが、つっかかってきた学園一の不良を泣かせたことがあるらしい。 しばらく、紅音の苦しそうな吐息以外聞こえない沈黙が続いた。 瞬間、ビュウと風が吹き、窓が揺れた。 その音に反応し、壊縁と思われる少年は面倒臭そうにまぶたを開く。 そして、青希らに気づいた。 こうして壊縁と向き合ったことは極端に少ない。 だが彼の眼は斬ったように鋭かった。 壊縁はあー、とつぶやきながら頭を掻いた。 「なンだよ高城か………うるせーのが来やがった」 「うるさいってなんだよ!俺がいつうるさくした?」「今」 青希は、はぁーとため息をつき、再度壊縁と目を合わせた。 「お前よく無事だったな……」 と青希は率直な感想を述べてみる。 「その台詞、そのままバットで打ち返してやろォか?」 「うっ……」 再度沈黙。 「朝霧。なにか食料……ないか?」 「2階に食料庫がある」 「サンキュー朝霧!」 そういうと青希は2階への階段を駆け上がっていった。 青希がいなくなってから、壊縁は大きなため息をした。 「………くっだらね」
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