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地下80mまで降りたが、なお寒い。ここまできて、ようやく氷点下から脱したという所だろうか。
紅音は、産まれた時から体が弱かった。
いや、その表現には誤りがあった。
紅音は産まれた時から病気だった。
それも不治。
発症確率が一億分の一と極めて低い病であった。
絶園病。
紅音は13歳に成ってなお、50mを全速力で走ることが出来ない。
無理をすると目眩が生じてしまうからである。
また一日に数回、頭痛に悩まされる。
微熱や擦り傷も、油断をすれば致命傷まで発展していく。
それだけではなく、夏の太陽などモロに浴びたりしたら速攻で気絶してしまう。なんてことない寒さだって命を脅かす程のものになってしまう。
楽園と言うには程遠い、世界最大の苦病と呼ばれる。
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