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散々騒いだ椿は帰っていき、
部屋には恭也偲だけだった。
「傷はどうですか?」
「まだいてーよ。偲がキスしてくれりゃ治ると思うぞ」
ニヤニヤと笑う恭也の頬をふにゅりと偲の手が包む。
目も瞑る時間もなく、偲は唇を恭也にあずける。
「・・・これで治るなら、何回でもしますよ」
赤く染まる偲の顔を。
恭也が包む。
「お前まじで」
そして包容。
「いいか、覚えておけ。お前は俺のもんだ。お前の全部、俺のもんだ」
耳元で囁く低く心地い声。
偲も力強く抱きしめて、
「はい」
とだけ、
答えてまた、
泣いた。
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