村へ、情報と皿洗いと

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「こんの馬鹿たれ共が……一刀はこの国の人間じゃないって言ったろうが、この国の金を持っている訳無いだろう?」 えっ、と間抜けな声が漏れる、どうやら一刀の国の貨幣がこの国と同じとでも思っていたようだ。 普通に考えたら分かる筈なのに、どうして分からないものなのか、短い間に四度目の溜め息を漏らした。 「……悪いな一刀、うちの馬鹿三人が迷惑を掛けた。」 「いや、気にしてないよ、得体の知れない俺をこうして連れていってもらえてるだけありがたいんだから。」 「そう言ってもらえるとありがたい……」 中々一刀は良い奴だ、そう思う風天だった。 ――――――――――――――― 「本当にこっちにあるのでしょうか?」 「さぁな、女将の言う事が正しければ、間違いなくあるだろうが……」 店の一件から一時間後、どういう訳か風天達は丘の上へと登っていた。 あの後、風天は謝礼金として貰った金で女将に謝罪を述べながら四人が食った料理の分の金額を支払った。 どうやら一刀がかなり金を持っていると思っていたらしく、張飛こと鈴々が随分と食べたらしい、支払いの後の風天の食事代も含め、パンパンに膨れていた袋は今や見る影もなく萎んでいた。
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