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因みに先程鈴々が居なかった理由は、裏で薪割りをさせられていたから。
女将曰く「とてもじゃないが注文なんてまともに受けれそうもないから」だそうだが……
チャラチャラと虚しさしか感じさせない音をならしながら、丘の上に登っている風天達、歩いておよそ二時間余り、五人は漸く目的地に到達する。
「……こいつはまた、絶景だなぁ。」
「本当……すっごく綺麗……」
感嘆した風天の声と、うっとりとした桃香の声が重なったのは五人の目の前に一つの景色が姿を見せた為。
それは視界一面を覆う程、見事なまでに満開に咲き誇る立派な桃の木。
桃園と呼ぶにこれ程適した場所は無いのではないかと言いたくなる程、素晴らしい大自然の芸術。
支払い後に女将が教えとくれたのだ、丘の上に見事な桃園があると。
それと一緒に酒を一壺渡してくれた、どうやら桃香達がこの国の為に、民の為に立ち上がろうと言うことを一刀に言っていたのを聞いていたらしい。
この国を良くして欲しい、そんな女将の心の現れなのだ。
ただ、そこで風天には気になる事が一つあった。
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