2人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、今朝のニュース見ましたか?」
オレとテルが放課後の教室でダラダラしていると、橙野さんが昼間のこともあってかオレ達に気を利かせて、話題を提起してくれた
「あの、世紀の大発見ってやつ?」
記憶を辿り、覚えている1フレーズを口にすると、オレのことを察してか、テルはやれやれと言わんばかりに事の顛末を話した
「今の人類が誕生する前にも、人類はいた、即ちオレ達は二世代型の人類で、一世代型の人類が存在していたという仮説を立てた科学者が、長年に渡りその証拠となるモノを探し続けていたらしい
その結果、遂に関連性が高いとされる遺跡を発見して、調査を開始し、昨日になってほぼ確定である、つまり1世代型の人類がいたことがほぼ証明されたことが発表され、今朝のニュースで報じられたという経緯だ」
「へぇ~、まっまさに世紀の大発見だな」
あまりのスケールのでかさについていけないオレは、同じ言葉を繰り返すだけだった
「夢が広がりますよね!」
橙野さんは無邪気に笑い、綺麗な紫色の髪が柔らかく揺らめいた
一方のテルは相変わらず表情が読みにくい
その灰色の瞳で遠くを見つめ、誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた
「…触らぬ神に祟り無し」
最初のコメントを投稿しよう!