0の世界の崩壊-2day-

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「んじゃあ、また明日な」 テルと一緒に帰るつもりだったが、どうやらテルは学校で済まさなければならない用事があるらしく、オレを玄関まで見送りに来てくれた 「………」 テルは立ち止まり、無言のまま遠くを見つめている シカトかよ まぁいつものことだが… 数秒間黙視したが、一向にこちらを見る気配が無かったのでそのまま帰る事にした ところが、先刻まで蝋人形のように動かなかったテルの唇が突然動き出した 「1ヶ月前その遺跡で、ある“モノ”が発掘された」 ーーっ!? 予測不能な友人の言動に不審を覚えたオレは、彼の口から紡ぎ出される第二声を待った 「ソレは現代の科学技術を以てしても製造は不可能とされ、多くの研究者の興味を引き付けた」 さっきの話しの続きなのか? テルは機械的に語り続ける 「周辺に刻まれた文字を解読した結果、当時の人々が“ソレ”を神として崇めていた事がわかり、研究者達はギリシャ神話の神になぞって、ソレを“クロノス”と名付けた」 「テル?」 明らかにおかしい… 「更に解析を続けた結果 科学者達は、クロノスの内部に高密度のエネルギー結晶体がある事を突き止め、クロノスの内部構造を解明することを決断 そして彼らは遂に開けてしまった …………パンドラの箱を」 顔を上げたテル、その眼は見開かれ、灰色の瞳はオレを映し出し、その唇は両端が高く吊り上げられ、狂ったような笑顔を作り出していた 「お…おい」 本当にテルなのか…? 色々な疑念がオレの脳を駆け巡る こいつに一体何が… 「クっクっクっ」 再び表情を変え、テルは優しく微笑んだ 「っ!?」 「冗談だ 驚いたか?」 「冗談…だったのかよ」 あまりの変容ぶりに動揺していたオレは胸をなで下ろす 「結構面白い作り話だったろ?」 テルはいつものような無表情に戻る 「キャラ崩壊かと思ったよ」 あえて何事も無かったかのようにオレは答えた 「別れる前に一つだけ」 テルは何かを予感させるような瞳でオレを見据え、言葉を発した 「どんなに荒廃した世界でも そこには必ず “希望”はある」
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