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その言葉と同時に看護士が僕を呼んだ。
(やっぱり、帝王切開になったか…)
デニムのポケットから印鑑を取り出し、呼ばれた方に向かった。
呼ばれた部屋に入る
『おめでとうございます。』
と、若い看護士が臍の緒が着いた。生まれた侭の赤ん坊を、僕に抱かそうとしてきた。
慌てて持っていた印鑑を元のポケットに捻り込み(手指消毒してないけど大丈夫なのか?)と思いつつも、赤ん坊を抱くとずっしりと重く命の重さを知った気がした。
子供をよく見ると、渡された時は気が付かなかったが、産湯にも浸かってなかったらしく、羊水や血がまだ付いていた。
子供の股間には付いて欲しいモノが、付いていなかった。
図らずも妹の言う通りであったが、別にがっかりは、していなかった。
抱いていたのは、ほんの数十秒だったろう。
看護士が直ぐさま、子供を引き取り、
『お父さん、一緒に確認をお願いします』と言って
手足の四肢の数を数えながら欠損確認をし、綿棒を肛門に刺して肛門が開いているか、の確認(これは見ていて痛そうだった。)
身長を計り
体重を量った。
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