1065人が本棚に入れています
本棚に追加
私達はいつまでも喋ってられる。
くだらなくても嫌な事なんてないし、今話す事でもないのに自然とこうなってしまう。
「……ユウ君はさ、私のどこが好き?」
「んー? 口。ってか、唇」
思わず手で隠した。
「煙草吸ってる時って唇に目が行くんだよね。それに話してる時も……笑ってる時とか」
「やーっ、恥ずかしいな、おい」
「逆に俺は?」
「そうだなぁー」
私は枕に頭を落として、横向きのままのユウ君の顏を見上げた。
真っ黒で猫っ毛の髪に、長いまつ毛、大きな目にふっくらした唇。
所詮パーツに過ぎないそれで好きかそうじゃないなんて、ちょっと笑える。
私はこの人が好きだ。
この人だから、好きだ。
「全部、好き」
「ははっ。俺もー」
言わせられた感がする。
ずるいなぁ……でも嬉しい。
仰向けになって布団をかけ直す。
「……ありがと。来てよかった。ちゃんと――ユウ君?」
ユウ君はもう眠っていた。
さっきまで話していたのに、すーすー、と可愛い寝息が聞こえる。
最初のコメントを投稿しよう!